よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

能天気でいられたら

 夫はよく言えば明るい人で、私が赤ちゃんの将来を心配してどうしようもない気もちになってしまった時にタイミングよく帰宅してくれて、「全然大丈夫だよ、かわいいから」とさらっと言ってくれた。「でも、老後はどうするの?」と言ったら、「たっちゃんそんなに年とらないでしょ」と、これも顔色一つ変えずに言った。ダウン症候群をもってるから、長生きできないんじゃないか、これまではそうで医療の発達したこれからはそうでないとは言われているけど、認知症にも早くになりやすいらしいし、そんな私にとってはタブーなくらいに口に出せないことを、夫は共通の了解事項にしてしまった。「じゃあ、大人になったら?」と聞いたら、「なるようにしかならないよ。なるようになるよ」と、何でもないという風に言う。

 こんな夫と結婚したことが私にとっては人生における大きな良いことで、だから子供が生まれてダウン症候群だとわかったときに、結婚できないんじゃないかと、特に海外では最近は結婚する人も増えているみたいだけど、やっぱり結婚しないというかできない人生になる人が多いみたいだし、と悲しくなった。それも夫は、「結婚なんてしなくていいよ、今は3人に1人しか結婚しない時代だよ」と、本当かしらない数字を出して、何でもない事として解決してしまった。あなたは私と結婚したことをどう考えているのかしら、とも思ったけど。

 そんな夫との会話で私の気持ちは楽になったけど、やっぱり子どもが結婚できるくらいに育ってくれれば、たとえしなくても、高望みかもしれないけど、嬉しいなとは思ってしまう。心臓の穴が悪さをしないで、他の合併症も大したことなくて、元気に成人してくれて、自分の気持ちを表して他人とコミュニケーションがとれて。あんまりいっぱい期待すると、後から辛くなるかなと思いながら。新米のお母さんとしては、やっぱり、このくらい思ってしまう。結婚式みたいなものをしてあげられることができたなら…と思って、私たちだって挙式していないことに気づいた。親なんてこんなものか。