よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

授乳タイム

 赤ちゃんが、おっぱいしてる時、目をつぶってる。目をつぶって、皮膚が接する感触と、匂いと味に、集中している。能動的に集中していると言うより、受動的に浸りきっている。チュパチュパチュパ。ゴクゴクゴク。

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 大人は外界の情報を、視覚からその8〜9割を得るという。全然違う。赤ちゃんの礎となる哺乳体験は。大人はみんな赤ちゃんだったのに。

 目を閉じて、感じる。安心しきった世界でしか、できない。だから大人は、目を開けて、情報を得るのだろうか。触覚や匂いや、不快なものが入ってくる感覚を遮断して、息をつめて世の中を戦っていくのだろうか。

 子どもが巻き込まれる事件、事故、虐待。パニックを起こしそうになるくらい、受け入れられない。自分の弱い弱い赤ちゃんを、それでも絶対に守りきらないといけない赤ちゃんを、笑顔が堪らなくて泣き顔も堪らない子を、胸に抱えてから。

 大丈夫、いざとなったら強いんだから。辛すぎるとき、死ぬとき、子どもだって感覚を遮断できるんだよと、誰か言って欲しい。そうやって私たちも生き残ってきたじゃない、と。

 ああ、そういうことか。今のうちに、たくさんおっぱいしようね。世界が崩壊するまで、この記憶をお互いに刻むため。