よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

幻聴さん

 読みやすく、面白い。「べてるの家の『非』援助論」。本書で紹介される「幻聴さん」は、めちゃくちゃなのに良く伝わってきて、それを知ることで自分の心が喜ぶのを感じる。なぜかと考えれば、自分もパーソナルなイメージをもって生きていることに、改めて気づく。そして、自分の心が、この本を介して世界とつながることを、福音と感じる。

べてるの家の「非」援助論―そのままでいいと思えるための25章 (シリーズ ケアをひらく)

 一方で、社会的なあり方の面に目を向ければ、非常に硬派で厳しい内容である。それも、平易な記載と具体的な記述により、すっと頭に入る。
 統合失調症にはもちろん、精神障害にも当事者活動にも特段の興味は無いのに、読んで良かったと思う本だった。「シリーズ ケアをひらく」の全制覇というこだわりで読んだ本だが、半分ほど読破した現時点で一番有益な本だった。
 自分が病識なく持っていた、世の中を見るのに使っている歪んだレンズを、取っ払ってくれる本だった。