よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

クローン・ニャタ

 もし我が子のクローンが作れたら、どうする? もう一人ニャタがいてもいいなあ、なんてにやけてしまう。可愛い盛りの2歳半、ニャタなら何人でもウェルカムだよ、多い方が賑やかでいいね、なんて。しかも、ニャタがもっている障害が無いバージョンのニャタが作れるんだったら、どうしよう? それはもう、ニャタではない気がするけど…でも、ニャタ自身が症状や、必要な医療行為や、社会での立ち位置に苦労しているのだとしたら、もう一人のニャタからはそれを取り除けるのだとしたら。

 でも心配はいらない、一卵性双生児だってクローン人間のように同じ遺伝情報を持っているのだ。つまり、クローンっていったって、全然別人が出来上がるのだ。だからこれは、ただの思考実験。自分が子供のことをどのように考えているのか、どう考えていけばいいのか、改めて突きつけてくれる仮定なのだ。

 自分のクローンを作って記憶も移植して、未来永劫生きながらえたいみたいな富豪の気持ちは、私には全然わからない。ペットのクローンを作りたい人の気持ちも、犬猫レベルのペットを飼ったことがないせいか、よくわからない。そんな風に、自分と他人の違いに気づくのも、仮定による思考実験のメリットだ。

 どっちみち、今ここにいるニャタを大切にするしかないのだなあ。そう思って、オムツを替えようとしているのに逃げていくお尻を愛で、自分で食べると言ってきかずにまき散らしたおかずをそっと拭く。クローン・ニャタのことを考えなければ、嫌になりそうな瞬間もある現実。