よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

赤ちゃんをこの胸に抱きたくて

 出産予定日を過ぎた。まだ正期産ではあるけれども、過ぎたなあと思う。でも、そのことに、私の至らなさというか努力不足というか、人為的要因はないらしい。だから、しょうがない。思うようにいかなくても、しょうがない。焦っても無駄。母子ともに経過は順調なんだし、一定以上の割合の人が予定日を過ぎているんだし、心静かに陣痛が来るのを待ち、日にちが来たら入院して、しかるべき処置をしてもえばそれでいいのだ。と自分に言い聞かせて、毎日を過ごしている。

 夫や、実家の両親や、双方の親戚や、友人知人や、職場の人たちや、気にしてくれている人がいっぱいいる。でも、今は私自身の気持ちを家族の支えに頼って持ちこたえるので精いっぱいで、他の人のことを思いやって連絡したりする余裕を持てない。出産予定日を過ぎたことを、そんなに思い悩む必要はないのかもしれない。でも、こだわってしまう。

 体調は幸い、悪くない。もちろん、腰痛と足のむくみと、大きなお腹で息切れしやすいことで生活は制限されてはいる。だけど、ご飯も美味しく食べられるし、夜も何回か起きるけど大体はベッドで横になって寝られている(臨月には横になれなくなる妊婦さんも少なくない中で)。簡単な家事をしたり、胎教でもしてみようかと買ったクラシックCDを聞きながら小説を読んだり、夫と近所を散歩したりして、穏やかに過ごす日々。と言いつつ、ジンクスにすがってオロナミンCを飲んでみたりもするけど。お母さんは待ち遠しいんだよ、あなたを抱っこする時が。出産後には「あの頃は良かった」としか思わないらしいこの最後の時間を、そのことを散々聞かされても、どうしてもそう思えない。