今日はたっちゃんの採尿日だった。誕生日みたいな響きだけど。この間の定期採血で腎臓の数値が悪くて、精密検査の予定が立って。はじめての尿パック。男の子だから簡単かと思ったら、夜中貼っておいたのに、朝おむつぐっしょりパック空。気合いを入れ直して、起きてて嫌がるたっちゃんをなだめすかしつ、貼り直し。抱っこして遊んでいたら、温かい感触。そしてまた、おむつぐっしょりパック空。
その時、私はたっちゃんを連れて、日中見てくれる母のところにいた。そして、たっちゃんの尿が取れ次第、病院に寄って提出して、職場に遅刻していく予定だった。もちろん職場には事情を話して、仕事の算段をして、昼頃までに着けば何とかなるようにしていた。でも、おしっこ採れない。たっちゃんも嫌がるし、出勤のタイムリミットも頭をちらつくし。
頭の中に小さなパニックが渦巻き始めたところで、母からのダメ出し。母親のあなたに任せておけばいいかと思ったけど、私がはじめからやればよかった云々。私が頑張れば、もっと上手にできて、たっちゃんに負担をかけなかったかのような言い方に、私の感情と涙が爆発。慌てた母が、そんなつもりではなかったみたいなことを言い、異常事態を察したたっちゃんはお母さんにしがみついて寝てしまうい、お母さんはたっちゃんに申し訳なく情けなく思いながら、たっちゃんを抱えて落ち着いていく。こんなにもたっちゃんが愛しくて、たっちゃんと生きていることを再確認する。
結局、まどろみからのお目覚めとともに、ボーナス排尿をしてくれたたっちゃんのおかげで、ほどなく採尿完了。生まれ年のワインかのように大切な液体を、そーっとそーっと容器に移す。
たった2歳で、たっちゃんはお母さんを助けてくれる。支えてくれる。いいタイミングで、上手におしっこして。そんな風に思って、たっちゃんをなでなでしていたら、母に「普通におしっこしただけじゃない」と呆れられる。でも母は、娘がお母さんになって、嬉しそうに見えた。