よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

欠落感は、母になっても

 後ろに回した手が痛々しいのは、なぜだろう。自分で自分を守ることができない人だから? それはある程度はみんなそうだけど、この人はあまりに、か弱い。それなのに、いつも一生懸命で何も疑わず、まっすぐに進もうとしているから? 健気ってことかしら。

 たっちゃん2歳。アンパンマン体操の曲をかけると、後ろ手を組むようなポーズをして、ゆらゆらと左右にゆれる。踊っているらしい。児童館で覚えてきたダンス。お母さんはお仕事でいっしょに行けてないから、完成系のダンスを知らないから、余計にたっちゃんの拙さが目立つ。

 お母さんとしての私は、毎日忙しく、仕事と育児と家事で体を壊しそうなくらい。仕事から帰ると、何か小さい人がちょこなんと座っていて本当にかわいい生き物だなと思う。それでも、私が今悩んでいるのは虚無感。昔から抱えているし、今は夫とのことがあるから心の傷つきが癒えないのもしょうがないんだけど、たっちゃんがいるのにおかしいなと思う。たっちゃんはこんなに全力で生きているのに。

 小さな子供で、障害があって、出生前診断で生まれてくることを拒否されるような人間の方が、私なんかよりも立派に堂々と生きている。なんだろうな。なんだかな。私には何が欠けているんだろう。