実録東京生活

この世界を楽しく生きていくために。

相似形の世界

 意地悪な言い方をしたくなるくらい、感動した。

 絵本を広げて置いて、人形もそばに置いて、「あーうー」と声を出している。たっちゃん2歳2か月、お人形さんに本を読んであげているのだ。こんな高度なことをする日が来るなんて! 

 ふにゃふにゃの赤ちゃんが生まれて、ようやく自分の腕を重力に逆らって動かせるようになったのは、生後3か月の頃だったっけ。ガラガラを、軽量をセールスポイントにしている物をアマゾンで見つけて、買った。把握反射をあてにして握らせたら、心なしかご本人もご満悦な様子だった。チョウチョさんと名付けられた、あのガラガラはどこに行ったんだろう? そう、この子の父親と別れるとき、向こうの荷物にすべり込ませておいたんだ。この子を忘れないように。

 自分が楽しいことを覚えて、それがどんな状況か認識して、対象に自分を投影して、動機づけられて実行した。大人だって、それだけのことがいつだってできれば、いろんなことがもっと上手くいくだろうな。小さなたっちゃんが、お人形さんに本を読んであげる。部屋の片隅に、どこまでも平和な光景が繰り広げられている。お母さんも、必死のオーバーアクションで読み聞かせしてきた甲斐があったというものだ。