昭和の時代に、原家族でテレビを見ていて、世界の民族紹介みたいな番組があった。一日中、歌っていて、会話も歌にするくらいの人たちがいた(ような記憶がある)。赤ん坊を、ほとんど一日中抱っこして育てる風習の人たちもいた。
子供心に、いつか自分に赤ちゃんが産まれたら、抱っこしながら歌って育てたいと思った。どうしてそんな風に思ったのか、そこに安らぎを感じて、安らぎを愛していたのだろうか。原家族はいろいろあったけど、一生懸命育ててくれたことはわかる。
そして、一昨年たっちゃんが生まれた。病気のこともあったけど、できるだけ抱っこしていっぱい歌って育てている。あんまり考えてやっているわけではないけど、ほにゃほにゃのたっちゃんと過ごしていると自然にそうなる。もちろん、フルタイムで働くお母さんだから育児時間は短いんだけど、留守を預かるバアバも、なぜかいっぱい抱っこして歌っている。遺伝なのかもしれない。
外国では早くから子供を一人で寝かすんですとか、正しい文章で話しかけないと正しく話せるようになれませんよとか、小賢しい育児情報が耳に入ってはくる。でも、絶対に、私は私の感覚を信じて育てたい。もう正しいとか正しくないではなくて、なんなら一番の正解にたっちゃんが育たなくてもいい。親の勝手でたっちゃんごめんねとでも言おう。ただ私は、お母さんとして、子どもをできるだけずっと抱っこして、その温もりの中で、お歌にまみれた世界で、育ててみたいんだ。そんな孵卵器になりたいんだ。