一人で掃除機をかけていた。ニャタは、隣の部屋に置いてきた。テレビの前から離れないんだもん。「向こうの部屋、掃除機かけるから、一緒においで」と誘ったのに、「この部屋の掃除すればいいじゃん」と言われた。「いやいや、掃除したいの向こうの部屋だから」と反論したけど、伝わったんだか伝わってないんだか、足元の床を指さして譲らない。だから私は、テレビのある部屋の掃除からはじめるふりして、すぐに隣の部屋へ掃除機かけながら移動したんだ。
一人で残したら、寂しがって泣くんじゃないかしら。焦ってお母さんを探して、転んで怪我をしないかしら。心配で胸が潰れそう。でも、ここで迎えに行ったら、私の負け。ますますニャタのわがままが助長されてしまう。毅然とした母にならなきゃ。
自問自答していたら、にっこりと三輪車に乗ったニャタが登場。
歩き始めが遅いだろうニャタの移動手段として、1歳の誕生日プレゼントに用意されたD-Bike mini。2歳を過ぎて、乗り降りもハンドルさばきも自由自在。ときどきバイクごと横転するけど、今のところ室内使用で怪我はなし。
なんだろうな、この能天気さ。心配性の母と、自慢顔のニャタ。一人でどうやって、テレビを諦める方向に、気持ちを切り替えられたんだろう。彼の性格は、染色体の数に寄るものなのか? もう一人の親からの遺伝なのか? お母さんとバアバに囲まれた環境がぬくぬくなのか?
人を笑わせるなんて、君はすごい仕事をしているんだよ。