家電を奮発するなんて、昭和的ノスタルジックな世界観だなあと思いながら、痛い出費をした。花粉症やら梅雨やらで、なかなか洗濯物の乾燥が難しい日本だし、子供がいると洗濯物が多い上に、ベビーを転がして干したり何だりするのも大変だし、衣類乾燥除湿器。いろいろ調べて、安物買いの銭失いにならないように、パナソニックのハイブリッド方式。正直、高価なんだけど、お買い得感のあるやつだと結局、ただの部屋干しになりそうだったので。
まあ確かに乾きは早いし、部屋干し臭くもならない。びっくりするほどの威力ではない気がしてならないけど、装置に溜まる水分は結構な量になるので、それを見て満足する。
そんな気分で、朗らかな坂本九の歌声を流す。幸せなら手をたたこう♪ 幸せなら手をたたこう♪ 楽しいなーと思って聞いていると、間奏で坂本が「今度は何にする?」みたいにオーディエンスへ問いかけ、子供のような可愛い声が「お腹!」というのを「お腹!?」みたいな調子で(え、ディスってるの?)と思えば、「指鳴らそう」と使い勝手の良い提案をしてくれた大人男性の声を拾って、坂本は「OK、指鳴らそう」なんてカッコよさげに答えちゃってる。有名人の虚構の華が見えて、モヤモヤする。
でも、この曲を「おかあさんといっしょ」で聞いて好きになった2歳のニャタは、ニコニコとこの坂本九バージョンを好んで聞いている。だから、私のような心のいじけた大人でなければ、素直に楽しめる上質なアンプラグドだと思う。
でも、この曲を「おかあさんといっしょ」で聞いて好きになった2歳のニャタは、ニコニコとこの坂本九バージョンを好んで聞いている。だから、私のような心のいじけた大人でなければ、素直に楽しめる上質なアンプラグドだと思う。
ガーっとお風呂場を蒸し暑くしながら、洗濯物の水分が回収されていく。一方で、アナログレコードの風情を漂わせる歌声。日本の夏がやってくるなあと思いながら。去年とは別人のように、というかようやく人間らしくなってきたニャタと寄り添いながら。なんというか、過去と未来の間のポケットに落ちた感じが、心地悪くない。