よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

良い病院の選び方

 診療所とかクリニックと、大学病院みたいな大きな病院とでは、患者が同じ症状の相談に行っても、受ける医療は異なることがある。今日はその話をする。

 同じ医師でも、病院に勤務している時と、診療所でアルバイトしている時では、違う診療をする。診療所や病院には、それぞれ違う役割があるからだ。それに応じて、検査機器の揃え方なども違う。逆は真でない。つまり、大きな病院には専門的な検査機器があるから高度な医療が受けられる、と思い込んでいる患者がいるが、それは必ずしも正しくないのだ。

 一つには、医療経済に則った原理原則の働きがある。危険なサインのない頭痛患者で、CTやMRIなど脳画像検査をすることは、医療費の無駄遣いになり得る。だから、診療所やクリニックでは、そういう患者を問診と身体診察で見分けられなければいけない。でも、どんな分野にも例外はあるし、簡単には区別できない物事もある。つまり、危険なサインを持たないと思われる患者でも、検査をしてみたら、重大な病気が見つかるかもしれないのだ。だったら、みんな初めから大きな病院へ行って、できるだけ検査をした方が良いのか? でも、それでは世の中が回らない。患者個人にも、自己負担金とか、時間とか、場合によっては「侵襲」という検査による体への害も付きまとう。

 大きい病院や専門性の高い病院は、どちらかというと検査が多めだ。それは病院や医者が儲けようとしているのではない。その病院、そこで働く医者に、求められる医療水準というものがあるのだ。同様の観点から、家庭医やかかりつけ医になりうる規模の診療所に行った方が、生活習慣病や全身の健康チェックをしてくれることもある。

 だから、適切な受診をしてください。と言われても、結局どっちに行けばより良い結果が得られるのかなんて、分かる人はいないだろう。無暗に大きい病院を志向することは是じゃないこと、これはおかしいと思ったら異なる水準の医療を求めてみるのも一手であること。これまでの私の経験で分かるのは、これくらいだ。