よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

暴言への護身術

 夫からの暴言がすごくて、びっくりした。もちろん、出会った初めからではない。子どもが生まれて、生活が大変になって、お互いに余裕がない中で始まった。

 正確に言えば、暴言の定義は知らないんだけど。「最低の女だな」みたいなストレートにひどい言葉とか、「他人を見下して不愉快にしかさせないね」みたなコンプレックスが一周回っておかしなことになっちゃったみたいな言い方とか。ああ暴言を吐かれてるなあと感じた。大人しい優しい人だと思って結婚したし、赤ちゃんを抱えて必死だったから、とにかくびっくりするばかりだった。でも、子どもを預けるついでに自分の母親に相談したら、「娘にそんなこと言うなんて!」とひどく憤慨してくれた。それからは、私自身でも怒りや悲しみなど、正当な感情を直視できるようになった。

 別居して、しばらくの時間がたって、日常生活が戻ってきた。ツイッターとかを見るようになった。そうしたら、なんじゃこれ聞いたことないと思っていた、夫の暴言と似たような言葉のやり取りが、世の中に存在するのを知った。なーんだ、夫もこういうのに毒されていたんじゃないの?いつもスマホを眺めていたし、と思った。子どもが生まれても親になれなかった夫、なぜなら自分の親から受けるべき養育を受けてこなかった夫が、なんで華々しい暴言話術を繰り出せるのか不思議だったけど、受け売りなら納得できる。

 私も、もっと早くにこういう界隈に出会っていれば良かった、と思う。ちんけな話術を見破ったり、パターン分類して切り捨てたり、裏にある心理を知って憐れんだり、そういう情報処理ができたのに。

 暴言はいけないことだし、そんなこと言う人と出会わないのが一番なんだけど、世の中には事故もある。いざという時のために、護身術を身に着けておくのは大事だ。私の父は嫌なことを言ってくる人だったので、耳に心地よくない会話に対してある程度の免疫は持っていた。でも、直接自分にぶつけられる敵意、私の精神を打ちのめすことを目的とした発言には、ただ驚くばかりだった。暴言への護身術をある程度には得た今なら、呆れて去るだけだ。悲しい話だけど、少しでも誰かの役に立てばいいな。