よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

ジイジ大好き

 ニャタが風邪を引いた。ジイジが「熱なんか出しちゃダメだよ」とニャタに苦言を呈していた。

 ジイジは仕事人間だった。昭和の父親だった。でも、休日には私を、いろいろな所へ連れて行ってくれた。兄や母が同行することは少なかった。それから、離れて暮らす期間が長くなっている。いまだに、仕事で全国を飛び回っている。私の元夫のことを「親として無責任すぎる」と私に対して怒りを含んだ声で話した時に、私は、ジイジが私の親として、どれだけ責任を感じて仕事をしていたのか、割と初めて思い知った。まあ、母となった今、バアバのしてきた苦労も身に染みて分かると思うのだけれど。

 ジイジが思いがけず世間一般のおじいちゃんみたいにニャタを可愛がりだしたので、バアバは驚いている。ジイジがニャタに、発達具合とかけ離れた玩具を買い与えるので、「初めて子供と接する人だからね」なんて皮肉をバアバは言う。でもニャタが驚異的にその玩具を好んで使いこなしたりするので(ずいぶん早くに平仮名の本をくれたけど、ニャタはびっくりなことにそれで字を覚えだした)、ジイジとニャタは意外に相性が良いようだ。最近、電話が大好きなニャタはしょっちゅうジイジにかけたがり、それを「ご褒美」として扱うバアバ。ジイジとバアバの仲を取り持つなんて、ニャタはすごい。

 子供のころ風邪を引いたときに、父に「熱なんか出しちゃダメだよ」と言われて、しんどい時になんで自分のせいじゃないことを注意されなきゃいけないのかと、もっと優しいことを言ってもらいたいと、反発したものだった。でも、ジイジがニャタに言うのを聞くと、「ジイジは心配性だなあ、優しいなあ」と思う。

 ジイジの良いところ、ニャタに受け継がれていくと良いな。ニャタはみんなの良いところを受け継ぐと良いな。そしてニャタはニャタ自身を存分に生きて欲しい。そんなニャタを見守っていくのが私は楽しい。 

ことばのあいうえお (五味太郎のことばとかずの絵本)

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