スペシャルニーズの日々

この世界を楽しく生きていくために。

ファンタジーが分からない

 ニャタは自分を「お姉さん」だと言い、椅子に座って、机の上に画用紙とクレヨンを用意する。私のことは「おじさん」だと言い、横に座らせる。

 盛んにホニャホニャとしゃべりながら、画用紙やクレヨンには触れず、パントマイムのように左のものを右へ、右のものを左へと何かやっている。時々、私に向かって「あー」と話しかける。「はい」と返事すると、手を振って否定する。違ったらしい。黙っていると、5回に1回くらい、「何で返事しないの?」とばかりにびっくりした顔をされる。慌てて「はい」と返事すると、満足そうにまたホニャホニャパントに戻る。

 設定が分からない。お姉さん?おじさん?椅子に座って何をしているの? 進行もよく分からない。「あー」って何て言いたいんだろう?

 ハテナだらけの私を残したまま、機嫌よく5分10分と続けて遊んでいる。私の役割は果たせているようだ。ニャタのファンタジーが分からない。彼は伝える手段を持たない。でも、彼の中に何かが育って発展しているようだ。そして私と、現実と、共存できているようだ。何より。

 しかし不条理なお相手で、私の頭の中で糸が切れてしまいそうなのを堪える。私は現実的に機能していかないといけないからね、ニャタのファンタジーを触媒はしたいけど、飲み込まれるわけにはいかない。