ジイジの買い物にバアバが付き合って、その時に高級子供服屋でニャタのリュックをバアバが選んで、ジイジがお金を出してくれた(昭和の高度成長期に意に反して専業主婦となったバアバと、平成に働く私とでは価値観が違い過ぎるのだけど)。
ともかくニャタはファーストリュックを大変に喜んだ。早速、マイスマホ(おもちゃ)をリュックのポケットに入れた。さすが令和に育つ子だ。それから、股間を指さすパンツサインをしたので、(配置上の都合でニャタの手が届かないところに保管されている)オムツを手渡してあげたら、リュックに詰めた。それから、服をつまんで洋服サインをしたので、ニャタの洋服棚から一枚渡してあげたら、気に入らなかったようで違う服を指した。バアバによると、よくバアバが予備の着替えとして荷物に入れている服らしい、よく見てること! それもリュックに詰め込んでいた。
リュックを背負いたそうにしているので、手伝ってあげようとしたら拒否された。「ばいばーい」と言って、リュックを手にもって部屋の中を歩き、壁を指でつんつんしている。療育の入り口にあるオートロックの解除をしているのだ。そして何やらペチャクチャと喋った後、こちらに戻ってきて、聞き取れない何かを言いながら頭を下げる。「ただいま」なのね。
こうしてニャタは世界を確かめている。薄暗い中、水に向かって小石を投げて、その深さを測るように。他人になりきるわけではないから「ごっこ遊び」ではないのかな、最近活発にやっている。ニャタの思考が溢れて世界に触手を伸ばし、触れた世界に反応して姿形を変え、またニャタの中に収まっていくのが目に見える。
結局リュックは布団まで持っていって寝た。オシャレっぽい色遣いとしっかりした造りは私の趣味ではないけれど、ニャタの期待を受けるリュックさん、どうぞよろしくという気分になった。