よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体ニャタは育っています

新しい住まいと、疲れた母と、相変わらずのニャタ。

 とにかく疲れた引っ越し。もちろん片づけは終わっていない。

 ニャタの生活を守るのに神経を張り詰めていた。いつもの食事、いつもの道具、いつもの時間。温度や湿度。飲み水の減り、おしっこの色、体温。何よりご機嫌。良いお母さんだからじゃない。変えるのが怖いだけ。どこまで変えていいのか分からないだけ。そして、ニャタが体調を崩した時の対応が大変すぎるだけ。

  そんな間にもニャタは成長していく。引越し前には、「今朝僕はいい子じゃなかった」というエピソードがあった。朝、布団の上で寝起きのニャタが珍しく愚図って、体調が悪いわけでもなさそうで。その日の夜だったか、私がいつもの口癖で「いい子だねニャタ」と言ったら、布団を指して、イヤイヤしてみせて、困った顔をしていた。「残念ながら、違うみたいなんだよ。今朝、僕はイヤイヤしちゃったから、いい子じゃないでしょ」と言わんばかりに。そんな風に考えられるようになったことが偉いねと、抱きしめた。3歳の終わりを迎えていたニャタ。

  その数か月前には、ニャタはまだパイパイをしていた。寝るときや明け方、枯れ果てたおっぱいを実に満足そうな顔でチュパチュパしていたのだ。ある日の朝、ニャタはパイパイに向かって手を合わせ「ごちそうさま」サインをして、オムツを持って、お尻拭きを一枚とって、カアカアに向かって「いらない」と手を振って、バアバの部屋へ歩き去った。しっかり者なんだか、オッパイやオムツに長くお世話になってるからそうでもないのか、よく分からない生き物だ。
 引っ越してきたこの家で、ニャタは意外なところまで手を伸ばしてイタズラし、意外なところまで頭が届いてぶつけそうになり、母は神経をすり減らしている。元々の生活でも疲れていたのに、この引っ越し疲れをどうやってとればいいのだろうか。どちらにしても、選択肢はない。ニャタを見守っていくだけ。さあ布団の隣に潜り込んで、まだまだ赤ちゃんみたいな匂いを嗅ぎながら寝よう。

むしばいっかのおひっこし (講談社の創作絵本)