よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

子どもの心がわからない。

 心がどういう風に出来上がっていくのか、今一つ分からない。生まれた時からニャタを観察していれば、一つずつ見えるかなと思ったんだけど、いつも気がつくと次の段階に進んでしまっている。

 ニャタが背中を向けて、座って遊んでいた。後ろをバアバが、家事をしながら通り過ぎた。食卓に座っていた私は、バアバに「ねえニャタったら、こんなことしたんだよ」と報告した。そうしたらニャタが振り向いて、「何? 僕?」と。噂される感じ、それを質す行動、いつの間に君に装備されたんだろう。

 まだ積極的に嘘をつくことはない、と思う。でも、都合の悪いことは聞こえないふりをする。人と自分の考えが違うことは分かっていて、例えば自分は嫌いなお菓子でも私が好きだろうと持ってきてくれたりする。かえって手間を増やすようなお手伝いのようなことは、一時期あったけど、そういえば無くなった気がする。自分が落とせば私が拾うとか、拾ったり拭いたりするのは一手間であることとか、分かったんじゃないかと思う。

 それからプライドが高い。洋服を上手く着れない時に手を出すと非常に怒る。それだけなら自分でやりたいだけかなと思うけど、誤嚥してむせ込んだ時に、口の中の物を出していいよと言って私の手を近づけたり、時には背中をさすろうとするだけでも、怒る。ニャタは初めからよくむせるので、私が子どもだったらパニックになって親に頼ろうとするような時でも、自分で落ち着こうとしていたり、いいタイミングで水を飲もうとしたり、健気である。

 しゃべれることや出来ることが増えて、もうすでに作動していた心の働きが見えるようになったという感じだ。こんな風に親に観察されているなんて、嫌かしら。