お兄さんになったニャタは、生まれたてのニャトの面倒をよく見る。泣きだせば駆けつける。自分が寝るとき、起きるとき、ニャトが寝ているとき、起きるときに挨拶する。(寝ているニャトの耳元で大きい声を出して、起こしてしまうことも多々あるけれど。)ニャタが属する種族の能力を、新しく発見した気持ちだ。
新生児ニャトは、私と対の生き物である。ニャトが良く飲むので、母乳も良く出るようになった。ニャタは赤ちゃんの頃、キノコのように私の付属物だと感じていた。ニャトは自分から働きかける力が強いので、私と対を作る。泣いて授乳タイミングを知らせる機能が搭載されていて、助かる。泣けない目覚めない赤ちゃんだったニャタは、その代わりに、とても可憐で愛らしい雰囲気を放っていたなと思う。出産祝いで頂いた、上品で可愛らしい帽子をニャトにかぶせてみたけれど…きみは強く生きていきなさい。
妊娠後期から出産後の今も、ニャタを怒ることが増えたというか、以前はゼロだったのに。自分がしんどくてニャタに当たってしまうと考えることも、簡単だ。ニャトが育って大人と会話などするようになったとき、ニャタだけがその輪に入ってこないと嫌だという理由もある。いくら知的障害があるとはいえ、染色体疾患による性格特性があるとはいえ、可能性が感じられるところには可能性を見てしまう。
でも今日気づいたことは、ニャトが生まれたことで、ニャトの存在を望んだことで、私とニャタの関係が二人だけの世界から開かれたのではないだろうか。ニャタだけを見ていた私はニャタのご意向を最大限に汲んでいたけど、これからは、私もニャタも、ニャトを加えて3人で、珍道中を進んでいくんだ。