よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

母親になってしまった

 ジイジとバアバは近所で別居している。直接の連絡は、ほとんど取っていない。それなのに、ジイジが西瓜をくれた日にバアバが桃をくれたり、10分も違わずに電話をかけてきたり、ニアミスを頻発する。性格の不一致があるとは言え、いわゆる長年連れ添った夫婦で、同じ時代に喧嘩しながら一つ屋根の下で生活してきた訳で、結局こうなっているのが物悲しい。

 ニャタはニャトに追い越されそうだ。西瓜も桃もニャトは食べ、ニャタは食べなかった。果物はリンゴとバナナしか食べないという、こだわりである。それでも、自分の「大きいトミカ」と呼んでいる100均で買った車の玩具を口に入れて、「これは大きいから、ニャト君食べても大丈夫」「普通のトミカはダメ、小さくて危ない」と、お兄さんをしている。ニャタは生まれてこのかた、玩具を口に入れるなんてなかったのにね。「ニャトくーん、おはよー。あ、そ、ぼー」と高い優しい声で、抑揚をつけて話しかけている。マザリーズだ。

 ニャトは絶対値で日々成長しているけど、相対的には2か月遅れだ。ハイハイはしないで立つタイプかと思っていたら、9か月になって今更ずりばいを始めるらしい。偏りがあるならともかく、単純に遅いだけって、なんかかえってパッとしないなんて思ったり。しかし!元気なのだから大感謝しないと罰当たりである。遅いと言っても、ニャタよりだいぶ早いし、合併症も今のところ無いので、ついつい気が緩んでしまう。

 夫は頑張っているのだけど、悪気が無さそうなだけに、なんとも。私に余裕があれば笑えるのだろうけど。短時間でもニャトと夫と二人にして良さそうなら、だいぶ生活の選択肢が広がるだろうにな。

 私はとうとう今の仕事を辞めるので、つい家族に目が行きがちである。ニャタとニャト、収入としての仕事、老いていく両親、どうしていいか夫、自分のこれまでとこれから。何をどうして良いのやら。

 でも最近は一晩中1-2時間おきに起きることがなくなり、前日に見たニュースをアレンジしたような夢を見て、とにかく子どもたちを守らなきゃ!どうしよう!と言語化された。産後数か月の一番調子が悪かった時の心持ちとそっくりだと気付いた。とにかく子どもたちを守っていくんだ。