コップから水を飲む。ただそれだけのことが、どうしてこんなに可愛いんだろう。
たっちゃん1歳6か月。小さな手。まだ指一本ずつの分離運動は不完全で、そんなお手てで慎重にそおっと、コップを両手で包み込むように持ちあげる。そして大胆に、コップを傾けて水を流す。半分くらい、洋服に染み込む。でも確かに、自分でコップを使って飲めた。
最近、できることがますます増えてきた。宅急便が来ると喜ぶ。おじさんにバイバイして、段ボール箱によじ登る。引き出しを開けて、片方の手を突っ込みながら、もう片方の手で閉めようとして、自分で自分の手を挟んで、フリーズする。狼狽えた顔。助けてあげると、えーんと泣き出す。かわいい。泣き顔に向かって、思わず、何てかわいいの!と言ってしまう。本当は、痛かったねとか、引き出しは触っちゃダメだよとか、お母さんらしいことを言わなきゃいけないのにと思いながら。
かつて、コップから水を飲むだけで、一歩歩くだけで、拍手喝さいでもてはやされるべき時が、誰にでもあったんだ。いじめっ子にも、いじめられっ子にも。
明日もお水ごくごくいこうね、たっちゃん。お散歩も行くし、お昼寝も一緒にしようね。明日は祝日で、お母さんお休みだよ。いっぱい遊ぼうね、いっぱい抱っこしようね。