よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

精神科医なのに普通だ

 精神科の先生って、精神科の患者でもある人が多い。これは、精神科やそれがある病院で勤務している人とか、精神科にかかってきた人とか、そういう精神科医と接したことのある人たちの大半が思うこと、と言って言い過ぎではないと思う。そうですよね、皆さん。 ちなみに私も精神科の患者だったし、なにも差別とか悪口を言いたいわけではありません、現実描写です。

病んだ家族、散乱した室内―援助者にとっての不全感と困惑について (シリーズケアをひらく)

 著者は、精神科医にしては珍しく、普通な感じの人だ。そう思ったら、はじめは産婦人科医だったけど、途中で精神科に代わったと書いてあって、さもありなんと思った。
 「病んだ家族、散乱した室内」という、魅力的で具体的なタイトルの本。精神症状や、それによる現実的な状況、そして患者さん自体に対して、とても健全で取っつきやすい評価がなされていて、わかりやすかった。例えば、一昔前に流行った「アダルトチルドレン」という言葉に対しては一刀両断で、すっきりだった。その分、記述の深みとか、じわじわくる面白さに欠けるようにも思う。けれども、ご経験豊富な偉い先生なので、十分な読みごたえはあった。健全は深遠を持たないという、これは私の偏見です。