よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

良い子の季節

 最近の彼は育てやすい。まず、病院に行くことが減った。コロナで抑えているところもあるので、ぼちぼち定期の循環器やら耳鼻科に行って大変なことになっていたら本当に嫌なのだけれど、とりあえず毎日は元気そうに暮らしている。

 イヤイヤ期をいい加減に通り抜けたらしい。それでももちろん、ご飯やお風呂の前には、キャッチボールをやってからとかその後にサッカーもやってからとか色々言うけれども。こちらも諦めていて、キャッチボールをやりサッカーをやると、ちゃんと次の行動に、自発的に移れるようになった。子供にしては出来過ぎなくらいに。

 キャッチボールは「何回やるの?」と聞くと、一生懸命小声で「いちかい、にかい、…」と数える。つい数日前までは「きゅう」だったけど、その後に「ゼロ」と指を丸で作ったので、「0は1の前だよ。ないないだよ。やらないで終わりになっちゃうよ。9の次は10だよ」と説明したら、「きゅう、じゅう。じゅうやる」と言うようになった。たぶんゼロの概念は理解できなかったと思うけど、ニャタは10を手に入れた。

 記憶力は良い。私が今日の夕飯を考える時に「あれ? かあかあ昨日の夜、何食べてた?」と聞いたり、入浴中に「ねえ、かあかあもうリンスしたっけ?」とか聞くと、教えてくれるので助かる。完璧ではないけれど、私よりはよく覚えている。

 バアバは体調不良が続いており、というかもうご高齢だし、とうとう私がニャタの食事を作るようになった。離乳食を始める時は作るつもりだったけど、料理下手なのと完全同居になったので、すっかり頼っていたのだ。代わってみたら、ニャタは何でも食べてくれる。食材も味付けも、バアバと違って私は手抜きしてその辺にあるものを使っちゃうんだけど、「かあかあ美味しかったよー」とバアバに教えられたらしいセリフを言ってくれる。こういう風だとこっちも頑張れるもので、子育てって相互作用だなと思う。

 目が覚めた時、息をしているか恐る恐るニャタの暖かさ柔らかさを確認することもなく、自信を持って隣の人を触れるようになった。心配性の私としては、これから先どうなることか油断はできないぞと思うけれども、人生にこういう時もあるということもまた一つ事実なんだと思う。