よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

不思議なニャタ、謎のニャト

 トイレに入っていたら、怪しげな足音が聞こえてきた。そっとドアを開けたら、「すみません、浅草線を見たことがありますか?」と、そこに立つ小さな人に聞かれた。「あるよ、今度見に行きたいのかな?」と言ったら、「ありがとうございます」とニャタは去っていった。すぐトイレを出たら、Youtubeで子どもがお人形を世話する動画を見ていたけど、たぶんこの前にはホームに電車が到着する動画を見ていたのだろう。

 ニャタが丁寧な言葉で喋るのは、たぶん私とバアバという2大保育者が、ニャタに向かってそうしがちだからだろう。申し合わせたわけではない。だから、ニャタの方に何か私たちをそうさせる要因があるのだと思う。何というか、不思議な生き物である。小さな赤ちゃんの頃は、命を繋ぐのもギリギリな感じで、その存在が有難く、つい丁寧に話しかけていたような気がする。今はだいぶしっかりしてくれたけど、発達の遅れによる凹凸で何ともユニークな存在になっていて、不思議な生き物である。健常児を育てたことないけど、障害児の方が個人内、個人間の差が激しい気がする。

 そのうち、お腹からニャトが出てくる。逆子だったり、小さめだったり、今から心配をかける子である。私が心配しすぎなのかもしれないけど、無邪気に元気な子が生まれてくるとは思えないニャタや療育のお友達たちのことがあり、でもそんな風にばっかり思っていてはニャトにフェアじゃないのかなと思ったり。

 どんなニャトでも仲良くやっていきたいと思いながら、どんなニャタのことも今より少しも手薄にしたくないと思いながら。キャパの小さい私は、仕事上のことや自分の身の回りのことを、どんどん手放してきている。それで一番大切な者たちと一緒にいられるのならば。