ニャタが、エピソード記憶を語りだした。
これまでも、前日やもっと前の出来事を、「こういうことをしたんだよ」とばかりに身振りでやってみせることはあった。その時に使った玩具などを見ると、思い出すきっかけになるらしくて。でも、そこにはストーリー性がなかった。ただ一つの出来事が記憶され、再現されているようだった。
ところが最近では。例えば、ある朝、ぬいぐるみを起こすようにと私に指令が飛んだ。ぬいぐるみはアルパカで、首が長くて、座らせたら頭部がぐにゃっと横に倒れてしまった。ニャタはそれを真似して、首を傾げた。そうしたら、襖の端っこに頭をコツンとぶつけてしまった。
痛くはなかったみたいで、おかしそうに笑った。自分の頭をこぶしで軽く叩いてみせて、また笑った。「ぶつけちゃったよ」みたいな感じだった。
それから朝食を食べ始めた。途中で、バアバが登場した。そうしたら、襖の端っこを指してから、首をかしげて、こぶしで軽く頭を叩いて、バアバの顔を見てニコッと笑った。
「ねえねえバアバ、さっきね、あの襖の端っこのところでね、(アルパカ君の真似して)頭こうやってやったら、コツンってぶっちゃったんだよ!ねえ聞いてよ。」みたいな感じ。バアバが来て、思いついたんだね。さっきいなかったバアバに教えてあげようと思ったんだね。何があったか、ちゃんと説明できたね。
いろんなお子さんが毎日一生懸命生きていることを考えると、いろいろ考えてしまうんだけど、親は我が子の成長を喜んであげないといけないだろうな。また一つ頼もしくなって、お母さんは嬉しいよ。ゆっくり、今日を楽しんでいこうね。いっぱいお話しようね。きみの言いたいこと、わかるよ。