全身にクリームを塗ってあげる。お風呂上りのほかほかの体が冷めないうちに。パジャマを着るように促す。着せてあげようとすると嫌がるから。たっちゃん2歳。いい匂いも柔らかい体も、生まれた時から続いてるけど、乾燥肌になってきた。母親譲りでごめんね。
私の顔を見つめ、ほっぺたを指さし、塗り塗りの仕草をする。「お母さんも、塗っときなよ」。カサカサと赤くなっている私の顔に、クリームの容器を差しだす。「たっちゃんは優しいねえ」と、会話してるのか、ひとりごちているのかわからず呟く私に、バアバが一言。「たっちゃんはお得ねえ。バアバが同じこと言ったら、うるさい、になるのに」と。
確かに。母親に言われれば小うるさいことが、小さな息子に言われると何て嬉しい言葉に早変わり。たっちゃんの心が綺麗だから、純粋な優しさを感じるから。何て言ったら、私の母親に失礼千万で、母親だって娘を思う気もちで言ってくれてるんだけどね。それがわかっても、人の親になっても、やっぱり母親の言葉はうっとうしいものだ。たっちゃんもそう思うんだろうな。立派なもんだな。