東京近郊と呼ばれる千葉の都市で10代半ばを過ごした私にとって、男の子がデートに誘ってくれるのは、ディズニーランドだった。自分もドキドキしていたし、相手もパレードだとかアトラクションだとかを楽しんでいるのだと思っていた。
国道と踏切を見に行くだけの、デート散歩を繰り返すことになるとは思いもしなかった。何が楽しいのか今一つわからない。でも、色々な車が走っていく国道を眺め、カンカンという音ともに遮断機が降りてはガタンゴトンと電車が通り過ぎていく踏切で時を過ごす。だんだんと、愛しい人との時間が彩られて感じられるようになってきた。
やっぱり男の子は自動車や電車が好きなのね。親の趣味でテーマパークまで連れて行かなくても、近所の散歩で充分なのね。たっちゃん2歳、一番好きな男の子。あの嵐のような10代を過ぎて、苦難の20代をやり過ごし、私の人生にぽかぽかと暖かい陽だまりのような日々がやってきた。小さなたっちゃんとともに。