よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

寝起きの涙

 ある日、バアバが菖蒲の花を届けてくれた。こどもの日のお祝いに。ちょうど、ニャタはお昼寝から起きる時間で、まだ起きていなかった。顔を見て行ってよ、とバアバに上がってもらって、寝起きをバアバが抱っこした。バアバは予定があったので、それで帰っていった。

 次の日は雨で、午前中いつもの散歩をしなかった。昼寝の時、私も寝不足だったのでいっしょに寝た。ニャタが起き上がる気配で私が目を覚ますと、ニャタは悲しそうに泣き出した。そんなことってないし、私も寝ぼけていたので、どうしたの?と驚いた。カアカアいるよ、と言ったら少し泣き止んだけど、また激しく泣き出して、「バアバがいない」と言った。いやいや、いつもバアバいないし。

 結局、バアバに来てもらいたい、バアバの家に行くのは嫌だということで、とりあえず電話をかけた。それはまだ普段ならお昼寝中の時間だった。そしてやっぱり来てほしいというし、バアバも良いよと言ってくれた。ニャタはいそいそと、「ハンガーはどこだ?」と迎え入れる準備をはじめ、私が「雨だからタオルも出しておこうか」と言ったら、ニコニコと洗面所からタオルを持ってきて、床に玄関マットのように広げた(畳んだまま置いておけばよいのに)。

 そうこうするうちに、ニャタは落ち着いた様子で、私自身も混乱が収まってきたので、「もうバアバ来なくても大丈夫じゃない?」ということになり、またバアバに電話してキャンセルした。ニャタが泣いて鼻水をこすりつけたので、私もニャタも、袖の一部がカピカピになった。

 いろいろと思うところはある。ニャタの思考、表現。これまでの生活、これからの生活。でも心配しすぎてもしょうがないし、ちゃんと心が育ってきていると思うことにした。