二人で布団に転がって歌など歌ったり、ワンオペ育児はしんどいけれども、気楽な瞬間もある。「早く寝なさい」とか「寝る前に騒ぐから寝付けないのよ」とか、言われなくて済むからね。大きな声で合唱する。
ニャタがふと私の方を向いて、「右耳にまた水が溜まって、聞こえにくい」と言う。実際に何て言ったのか忘れたけれども、私にはそれだけの情報が伝わってきた。「だから、『わかりません』と言って、カアカアに怒られたんだよ。昨日から」と言う。
いや、それは違うと思う。あくまでも、アマゾンのエコーを買って、ニャタがアレクサにあれこれ聞けと言うから私が代理で聞かざるを得なくて、アレクサが「すみません、私にはわかりません」などと答えるのを真似したのだ。「ご飯だよ」とか「着替えなさい」とか私が言うのに反抗して、ニャタが「わかりません」という答えをするようになったので、ニャタに菩薩の私も流石にイラっとして、強めに注意したのだ。「本当にわからない時は遠慮なくそう言うべきだけれど、だからこそ、そうでない時にそういう返事をしてはいけない」と。
でも、しばらく油断していたニャタの耳を見たら、耳だれか出てきている。また耳鼻科の予約はあるけれど、せっかくこの間親子で頑張って鼓膜チューブを入れたのに。
でもやっぱり、「わかりません」と言って怒られたのを滲出性中耳炎のせいにするのは、こじつけだと思う。記憶力、思考力、判断力、コミュニケーション力、いずれもなかなか育ってきたものだ。
これからもニャタとは二人で色々と乗り越えていかなければいけないし、二人で色々と乗り越えていけるのならまだ幸いなのである。