よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

発達ゆっくりさんニャト

 発達の遅れが治った。なんていうミスリーディングな事象を経験した。

 ニャトは、首座りが遅かった。いつまでもぐらんとして、ダウン症児ニャタと変わらないから、おかしいなと思った。思えば、生まれた後の数日は特に、おっぱいを飲むのが妙に下手だった。退院した直後から、目が泳いで魂が彷徨うかのような、発作のような様子があった。その後、寝返りはまあまあだったけど、お座りもできない。

 体が柔らかくて、そのせいで発達が遅いと診断してもらった。先生は心配いらないと言ってくれた。うつ伏せが嫌いで首が座らないところもあるし、体が柔らかいのは病気ではないでしょうと。でも、私には心配しかなかった。「赤ちゃん 体が柔らかい」で検索すると、筋肉の病気が出てきた。ニャタの体が柔らかいなんて、わからなかった。フロッピーベイビーなニャタがとっておきに柔らかかったから、私には普通が分からない。そういえば、服の脱ぎ着も妙に大変で、健常児ってこんなものかなあと思ったけど。

 しかし、バリバリの障害児ニャタよりはよっぽど速く発達していくので、まあしょうがないと思えるようになった。それよりも、ギャーギャー泣いて、夜も1-2時間おきに起きて、その辺が扱いにくい。それでも、なんかコミカルな愛嬌のある子で、なにより赤ちゃんであればどんな赤ちゃんでも、大人を魅了するパワーを放つものだ。抱きしめてほっぺを吸って過ごした。

 出産予定日頃に生まれたあと、2-3か月遅れまで開いてから、それをキープすること半年ほど。1歳前のつかまり立ちあたりから、若干遅れを取り戻し始め、あっという間に歩くようになった。気が付いたら、指さしや発語は順調に進んでいて。とうとう、遅れはもう見られない、ただし過敏で不安で、多動な子だと、専門の先生に言って頂いた。

 私自身が不安定な気質だと思うし、妊娠中も幸せ妊婦さんではなくて必死に上の子を育て仕事を片付けていた。そして防げるものだけでも防ぎたいと、妊娠合併症を避けたいと、体重増加に気を付けるつもりが行き過ぎて糖質制限ダイエットみたいになってしまった。産後は、いよいよニャト父への不満がつもり、眠れない日々の中で、ニャタにも厳しくなってしまう自分に向き合ってきた。筋緊張低下の赤ちゃんのうち、何事もなく育つのが何割で、発達障害の診断になるのが何割という研究結果も知ってしまった。

 ニャトが笑っている。なんのラベルも、タグもついていない、ニャトの笑顔。ニャタがニャトに向かって、普通に話しかける。赤ちゃんだからって、手加減しないのがニャタの特徴。ニャトが答えている。何か分からない言葉を、熱心にしゃべっている。私たち大人にはやらないから、不思議だ。二人とも、きっと幸せをつかみ取るんだよ。