ニャトは日々進化している。発達が謎に遅いとはいえ、今のところ診断がついていない1歳児はすごい。飛行機の音がすると、あるいは飛行機という言葉を聞くと、得意げに上を指さすようになった。音楽が止まっていることに気づくとスピーカーを指さし、知っている曲が流れると、得意げにお尻を縦に振るようになった。とりあえず、何をするにも得意げである。それから、大人のレトルトカレーの皿に手を突っ込んでその手を振り回してカレーをばら撒いた挙句にそれを舐めまわすとか、渋い緑茶を啜ってガラガラうがいのような音を立てて湯呑に手を突っ込んでピチャピチャするとか、あり得ないことを実現させる。
それに比べると、ニャタは何年も変わらないような気がしてきた。ダウン症のある7歳児は、とてもゆっくりである。とはいえ、ラインを使い始めて、予測変換で「それが」とか一言送ってきたのが、「こんにちは」とか一文字ずつ入力するようになった。なにより、この1年ですっかり良いお兄ちゃんになった。でも、勝手に予定を決めてしまって、大人の都合でそれを修正するのが難しかったりするのが相変わらず。それに、まだ自分でご飯を食べようとしない。
ニャタが進化する速度は、1歳児に比べて明らかに見劣りする。それが唯一の親である私にとっては、たまらなく愛しいのである。なんというか、大切な置物のような? ニャタは生涯、私にとってもニャタにとっても一生の間、私の宝物だ。ニャトは強く生き残って、羽ばたいていって欲しい。